ざっくり感染症の歴史

感染症の拡大には人口密度と人間の移動が大きな影響を及ぼす.都市化とともに人口密度が高くなることで感染症の拡大に中間宿主が不要となり,都市間の人の移動によって感染症も拡大する.

人間の移動による感染症の拡大例は枚挙に暇がない.大規模なものだけでも

他にもアメリカ新大陸での病原菌の交換(インフルエンザ,天然痘,はしか,チフスマラリアetc.←→梅毒etc.),エボラ,エイズなどなどが重要.

19世紀末のペスト,コレラ流行と同時期に感染症の細菌説および公衆衛生の概念が成立・浸透し,ワクチン開発の促進や上下水道整備などが進行した.ただ20世紀初頭までは公衆衛生を前提とした都市整備は植民地など新しい都市で,またワクチン開発は戦中に兵士を対象とした疫学実験で,それぞれ効果が試された.

こんにち先進国で感染症が重大な死因となっていないのは上記のような医療,公衆衛生の改善とともに栄養状態の改善も大きい.ただこれは同時に心血管系疾患や糖尿病などの生活習慣病の拡大をも伴っており,次なる課題はこれらへの対応であろう.